インヴィテイション5 インヴィテイション5
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だから
そして
でも
いつか
きっと
しかし
つまり
それ故
告げる
……

「……わかってる、わかってるんだ、兄さん」  ……兄さんだって、同じ状況なら、怖くない訳が無いって事は。 「でも……その最後で踏み止まれる強さを……僕は知りたい」  誠二はそのまま兄を見つめ続ける。心拍数と呼吸器、時計の秒針が静寂を刻む中、 「それじゃあ行ってくるよ、兄さん」  誠二は唐突に別れを告げると立ち上がり、部屋の外に出る。 「……早く結果を出さなくちゃいけないんだ。結果が出なければ、金は出ない。だから僕は闘う。逃げ道なんて、どこにも無い」  部屋を出た誠二の顔には、普段と全く変わりない、無愛想な顔が出来上がっていた。  香は無言で畳の上に正座し、眼を閉じ、静かに合掌している。彼女の前には仏壇と三つの遺影。父と、母と、弟の……そんな香を、横で心配そうな表情で見つめているのは香の祖母、春江だ。共鳴体に一家が惨殺されて以来、香は祖母と二人で暮らしてきた。  香が眼を開けると、 「……何かあったのかい、香?」  不安そうなしわがれた声を春江は出した。 「ううん……ちょっと、昔の事を思い出してたの」  心配をかけまいと、精一杯の笑顔を作り、嘘をついた。昔の事を考えていたのは、本当だ。空手を始めたのは、単に護身術代わりにと、父が教えてくれたからだ。ただ、幸か不幸か、彼女には格闘技の才能があったのだろう、誰の目から見ても『天才』と呼ばれる上達振りを見せた。 しかし、元々引っ込み思案で性格的に他者に力を揮う事が嫌いな香は、格闘技は好きではなかった。もっとも、周りに流されやすい彼女は他者の期待に応えるべく、嫌々ながら続けたのだが……その空手が、今は『インヴィテイション』として役に立っているのだから、皮肉だ。そんな彼女だからこそ、香は一枝との力量差がどれだけあるか、よくわかっていた。