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(技術とか、そういう問題以前に、基本的な能力差があり過ぎる)
誠二の速度は驚異的だが、それでも一対一でどうにか出来る気がしなくはない。朱実に関しても、『グリンガム』の間隙を縫って打撃を叩き込めない訳ではないだろう。最悪、一発か二発貰う気で接近すれば良い。勇樹には悪いが、彼と戦うとして、現時点でなら負けるとは思えない。
ただ一枝に関しては、これから自分がどれだけ技量を磨いても、手に届く位置に迫れるかどうか、かなり疑問だ。
そんな一枝が、言ったのだ。生易しいものじゃない、と。
そして、同僚はこうも言った。覚悟は、出来ているのか、と。
「なら、良いんだけど……お前は、優しい子だからねぇ」
声に、香は祖母の顔を見つめる。
「昔からそうだった……お前は皆に遠慮して、自分のやりたい事を言わないからねぇ」
春江がしみじみと語るのを、香は苦笑し、黙って聞いた。
「『インヴィテイション』にだって、ならなくても良かったんだよ?お金ならあるんだし、お前は大学だって出ているんだから、大抵の所には就職出来たんだよ?」
春江の心配そうな瞳から、感情が零れ落ちそうになっている。しかし香は、
「ごめん、お婆ちゃん」
そう言うと、ゆっくり首を横にふった。
「……お婆ちゃんの言うとおり、空手は好きじゃないし……闘うことそのものが嫌……だから、『インヴィテイション』もあまり好きじゃない」
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