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鬱陶しそうに一枝は独白……すでに『メチャクチャ』という範囲を通り過ぎている気が勇樹にはするが……
「理解に苦しみますけど……わかりました。でもですね、それがどうして、一枝さんが辞めようという話になるんです? そんな事までされて悔しくないんですか? グウの音も出ないほどの結果を出して見返そうとは思わないんですか?」
自分達の組織的な戦闘も、どうにかなりつつある。そこに一枝が加われば、むしろ彼女を賞賛せざるを得ない結果を出せると勇樹は思うのだが。
「……実習と同じで、普通に街の警護なり巡回なり、自然発生した共鳴体が相手なら、大丈夫なんだろうけど」
つかれた溜息が、どことなく重く感じられる。
「違うんですか?」
「一週間後、この札幌―日本の首都―に誰が来るか知っている?」
十年程前まで日本の首都は東京だったが、温暖化の影響で海抜が上昇した結果、新たな首都として定められたのが、この札幌。
「ええと……アメリカ大統領、トマス・ハーディソンですか? 日米安保の再確認とかなんとか……ってまさか、彼の警護を俺達にやれと?!」
「直接的なボディガードじゃないけどね。大統領だけじゃなく、国務長官なり外相なり、日本側からもたくさんのお偉いさんが来るから、猫の手も借りたいって事。日本は『インヴィテイション』の数が、他の先進国に比べて極端に少ないからね」
万一、そこで君達が何かミスをすれば、どうなるかな?
「……班長の一枝さんは、わりをくって、間違い無くクビですね」
「わりをくって、じゃなくて、君達を巻き添えにしてね」
訂正し、疲れたように白髪をかきあげる。
(でも……相当一枝さんをクビにしたいんだな、そいつ等。アメリカの主賓を招いて、一枝さんが失敗したとしたら、一枝さんを任命した上のクビだってとびかねないぞ? 妬みやポストを守るだけじゃなくて、恨みでもあるのか?)
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